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【真実一路】内田晋也の投資コラム

2025年相場 「値動き」「注目セクター」「リスク」そして「ビックリ予想」

2024年12月30日

まずは値動きです。

日経平均が10月以降、方向感のない値動きを続けていましたが、本原稿執筆(12月27日)時点で上放れとなってきました。

過去の経験則では、レンジ内でのもち合いが発生していて、その期間が長くなればなるほど、放れたトレンドに勢いがつくことが知られています。。

株価が上限をブレイクし、且つ維持するようなら、上方向のトレンド発生のサインとなりますので、現状は目をつむってでも付いていく局面でしょう。

10月からのもみ合いが3か月を超えてきていること、さらに「小回り三月」と言う相場格言も合わせて考慮すると、この上げはダマシではないと考えています。


そして2025年相場がどうなるか予想してみました。

端的に申せば上昇力を取り戻す展開になると予想しています。

日経平均株価は2024年7月に終値ベースの史上最高値を更新して、4万2224円をつけました。

1989年のバブル時高値を超えたことで、中長期目線では青天井の状況と考えています。

8月の急落後から一旦の踊り場を形成している状態が続いていますが、上放れは時間の問題であり、上昇力を取り戻す展開とみています。

1~2月は米国景気の底堅さや、中国景気が少し改善基調を示すなど景気の持ち直し感が浮上することで、株価上昇に勢いがつくと予想します。

一方、3~5月にはトランプ米次期大統領の発言や政策などによって株価が下落し、リスク回避となる場面があるとみています。

それでも年後半に向けて緩やかに上昇していくのではないでしょうか。

年間ベースの高値水準としては日経平均株価で4万5000円程度、時期としては2月か8月と予想します。


トランプ次期大統領の政策は予測不能

2025年の株式相場を展望するにあたって、最も気がかりなのは次期トランプ大統領の政策による影響です。

すでに多くの指摘がある通り、トランプ氏の政策はインフレ再燃や財政の悪化を招くリスクがあります。

減税と規制緩和は財政の悪化とインフレ圧力を強めるし、移民の送還も労働供給の制約につながりインフレに悪影響があるのです。

最も力を入れている関税政策は、対抗措置として相手国からの報復課税を招くし、最終的にはアメリカの消費者がそのツケを支払わされることになるわけで。

そうなると保護主義的な政策を徹底して貫くというよりも、かなり選別的になると考えるのが普通でしょう。

つまり、広げた大風呂敷のメニューはそのすべてが額面通りに実行されるわけではないという事です。

要はただ単にトランプ氏は関税を他国との交渉カードに利用しようとしていて、通商上の問題でなく、外交のツールとなってしまうのです。

最終的には、前回のトランプ政権時同様、適用除外など抜け道が用意されて、実行税率はあまり変わらない。

相手方の出方によっては撤回や変更もありうると思っています。

さらにその辺も含めた全容が明らかになるのは2025年の後半であり、過度に懸念せず、後半になってから彼の舌鋒の鋭さを確認してから考えれば良いのではないでしょうか。


そこで注目セクターです

筆頭は金融です。

金利上昇やNISAなど良好な国内環境を背景に好調が継続するとみられます。

トランプ政権による反トラスト法の撤回によってM&Aが活性化するでしょう。

特に金融や暗号資産などの分野ではM&Aが増加しそうです。

米国の規制緩和であってもこの分野はグローバルな波及効果があり、日本の金融機関にも恩恵が及ぶでしょう。

次は防衛関連です

防衛力強化のため、防衛予算が大きく増加していく見通しにあるなかですが、2026年4月からは法人税に税額に税率4%を付加する「防衛特別法人税」の新設も示されました。

「防衛所得税」の実施については検討課題となっていますが、防衛予算の確保が具体的に動き出したことで 2025年も防衛関連テーマが注目される期待が膨らむとみています。

トランプ氏の国際情勢に及ぼす影響についても、ロシア・中国・イラン・北朝鮮など権威主義的国家の増長を招くことは疑いようもなく、国際情勢はより不安定化し、各地で紛争が起こりやすくなるでしょう。

結果的に安全保障上の緊迫の度合いが増すことは明確です。

日米の軍事的な協議も含め三菱重工(7011)、川崎重工(7012)、IHI(7013)、三菱電機(6503)など日本の防衛産業への注目度が高まるだけでなく、場合によってはシェルター関連などのテーマ浮上も含め、より切迫した危機対応を相場が織り込む展開も想定せざるを得ないでしょう。


リスクについて。

リスク要因の一つは政治の不安定さです。

国内では夏の参院選まで石破政権がもつかどうか。

更に不安定なのが欧州の政治情勢です。

ドイツはシュルツ首相の連立政権が崩壊し、総選挙が2025年2月23日に決まりました。

フランスでも内閣総辞職が決まってます。

欧州の政治的な不安定さの根本原因は反EUのムードでしょう。

もしも、EUからドイツ・フランスが離脱することになれば、ユーロの通貨システムは瓦解し、欧州発の世界恐慌にまで発展するかも知れません。

そんなことが起きる可能性はかなり考えにくいのですが、可能性がゼロでないので悪夢は市場を揺らす場面があるかもです。

少し前に、中国の長期金利が日本を下回ったことが話題となりました。

ドイツの30年債利回りも日本の長期金利を下回りました。

中国も、ドイツも一昔前の日本のように低成長・低金利に陥ろうといています。

これは世界経済にとっては大変憂うべき事態ではあるのですが、そこから少しでも希望を見出すのであれば国際的な資産配分の観点から日本買いになります。

中国もダメ、欧州もダメとなれば、相対的に日本のポジションが高まるのです。

中国と欧州と言う世界の半分が低成長・低金利に陥ろうとするなかで日本はそれを克服し、ようやく長いトンネルから抜け出ようとしているのです。

かなり有利な立場であることは言うまでもないでしょう。



最後にビックリ予想

日本企業の構造改革が進展し、想像を超えた企業の合従連衡が起きると思っています。

日本企業はまだ数が多すぎて過当競争で利益率が低いのが実情で、それを打開する意味でも驚くような企業の再編に期待しています。

【7011】三菱重工と【6503】三菱電機
【6501】日立と【7011】三菱重工 
【9433】KDDIと【4755】楽天
 4000番台の化学メーカー

2025年は昭和100年、敗戦から80年、戦後日本経済のピークの象徴であったプラザ合意から40年、つまり節目の年です。

市場参加者はリスクを負う体質から前をのみ見つめながら歩くわけです。

登っていく坂の上の青い天に、もし一朶(いちだ)の白い雲が輝いているとすれば、それのみを見つめて、坂を登ってゆこうではありませんか。

投資調査部 内田
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内田晋也(うちだしんや)

略歴

1973年千葉生まれ。大学時代は経済学部にて国際貿易金融論を専攻し卒業。1996年より現三菱UFJモルガンスタンレー証券にて営業職として勤務。20歳代で手数料ランキング1位を成し遂げる。その後、極東証券に移籍しディーラーへ転身。ポジション3000万からスタートし、そこから6000万→1億→3億→6億と目覚ましい活躍をするも、これまで20年間で培った経験を個人投資家へ伝えたいとの思いから投資助言の道へ。2017年7月よりG&Dアドヴァイザーズへ入社し現在に至る。