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【真実一路】内田晋也の投資コラム

【8月23日】~上昇100日、下げ3日~

2024年8月23日

激変の夏相場が終わろうとしています。

8月5日の日本の株価下落をNHK・朝日新聞・日経新聞など主要なマスコミは米国市場の株価が下落したことが要因と報じましたが、何を見てそう言っているのでしょうか。

急落の要因は、日銀総裁の植田和男氏による政策金利の0.25%の引き上げと国債の新規買い入れを現行の6兆円から来年初頭の3兆円まで減額すると発表したことに加え、さらに総裁が「引き続き金利を上げていくという考えだ。その際に0.5%の壁は意識していない。」と語ったことによります。

この発言を受けて8月5日は大暴落。

問題はその翌日8月6日で、日経平均が大きく反発し史上最大の上げ幅を記録するなかで何が起こったか。

実は【8316】三井住友銀行は逆行安となり、業種別騰落率で銀行業が最下位となりました。

高値からの急落局面で最も売られたのが銀行株なので、相場がリバウンドに入ったのであれば大きく戻すのが普通なのですが銀行株は上がらなかった。

これは何を意味するのか。

私見ですが、日銀が「金融正常化」という政策課題を達成するために、市場のセンチメントや経済情勢を思いやらず、庶民を慮らず事を進めてしまった。

市場との対話も無視し、遠慮会釈のない、作法もへったくれもない中央銀行の態度は如何なものか。

そして最も気を使うべき金融緩和の出口戦略をお粗末なお役所仕事で通してしまった。

そういう中央銀行のスタンスに対してマーケットがNOを突き付けたのでないかと思うのです。

本来銀行は利上げの恩恵を受ける最も代表的なセクターになりますが、それが史上最大の上げ幅の中で上がらないというのは、日銀が過去そうであったように自己判断で利上げを淡々と進めていけないことを暗示しているのではないかと思うのです。

つまりマーケットとの対話を無視するような中央銀行の影響を受ける日本の銀行株に投資する魅力はないと突き付けられたという事です。

つまり対話の重要性を理解できない愚鈍な正副総裁は引責しろという事です。

つまり国富を失ったミスリードを詫びろという事です。

投資部門別売買状況を見ればご理解いただけると思いますが、海外勢の日本株売買シェアは6~7割に占める訳で、彼ら外資が相場動向に与える影響は極めて大きい。

国際的な市場となった東京市場に日本流のお役所仕事が通るはずもなく、さらに信用もしくは信頼関係は一度失うと、それを再び取り戻すには長い時間がかかるものです。

失うのはあっという間。取り戻すには時間がかかります。

相場格言にもある通り「上昇100日、下げ3日」。

もちろん事前に市場にすべてを伝える必要はありません。

公務員ですし、秘密保持やら守秘義務なんかもあるでしょう。

でもFRBだったらこんな失敗はしませんよ。

日銀は今回の市場急変の混乱を教訓に、信頼回復を念頭に置いて市場との対話を見直すべきと気づいてほしいのです。

投資調査部 内田






















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内田晋也(うちだしんや)

略歴

1973年千葉生まれ。大学時代は経済学部にて国際貿易金融論を専攻し卒業。1996年より現三菱UFJモルガンスタンレー証券にて営業職として勤務。20歳代で手数料ランキング1位を成し遂げる。その後、極東証券に移籍しディーラーへ転身。ポジション3000万からスタートし、そこから6000万→1億→3億→6億と目覚ましい活躍をするも、これまで20年間で培った経験を個人投資家へ伝えたいとの思いから投資助言の道へ。2017年7月よりG&Dアドヴァイザーズへ入社し現在に至る。