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【真実一路】内田晋也の投資コラム

【7月26日】~防衛省からのプロジェクトX~

2024年7月26日

米国とその同盟国がロシアや中国からのより攻撃的な行動を想定して高額の兵器類や軍需品の調達を増やしています。

日本の防衛費も2027年度までの5年間で43兆に膨らむ計画となっており、今までとの単純比較でも1.5倍以上の規模で今年度から巨額な予算が回り始めました。

日本の安全保障環境はかつてないほど緊迫したこともあり、好む好まざるにかかわらず防衛産業のステージが加速期を迎えたとみて良いでしょう。

戦後、断固として軍事力の忌避をつら抜いてきた政府自民党が、軍事力の効用にも行使にも否定以外になかった政府自民党が、大きく方針転換したのです。

この本気度を見逃してはなりません。

防衛省が発表した国家防衛戦略によると、抜本的に強化される7分野のほかに大きなプロジェクトが2つ動き出しています。

一つは先日発表になった日英伊による「次期戦闘機の開発」です。

機体は三菱重工、英のBAEシステムが主体となり、エンジンはIHIとロールスロイス、イタリアのアビオも加わる予定だそうです。

イギリスは欧州、日本はASEANなどのアジア市場への輸出と売り込みを視野にいれて共同開発となったそう。

もう一つは「衛星コンステレーション」という計画で、ミサイル防衛のため多数の小型人工衛星を一体的に運用して情報収集するものです。

そのために約50基の人口衛星の打ち上げを防衛省が計画しています。

スパイ衛星の未来形とでもいうのでしょうか、それはさておき関連企業にとってはビックチャンス。

宇宙ビジネスは一般的なイメージとしてロケットなどのハードや打ち上げが想起されがちですが、今後の市場成長の中核となるのは、衛星通信や観測データを利用したソフト・ハード分野になるとみられるからです。

市場拡大をにらんで大手からスタートアップまで企業の新規参入が活発になっており民間主導の成長サイクルが回り始めたとみて間違いないでしょう。

しかも防衛予算がつきますので研究開発費も潤沢、取りっ逸れもありません。

1960年代、破産寸前だった米のベルヘリコプター社がベトナム戦争でUH-1を大量に投入したことで大復活し、現在でもあのオスプレーを開発・運用するなど、米国を代表する一大軍事会社となったように。

もしかしたら、とんでもない企業が輩出されることがあるかもですね、宇宙だし。

今後、衛星を軸に2025年以降から成長の加速度が増すとみておりますので今後の成長可能性を探ってみたいと思います。

投資調査部 内田
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内田晋也(うちだしんや)

略歴

1973年千葉生まれ。大学時代は経済学部にて国際貿易金融論を専攻し卒業。1996年より現三菱UFJモルガンスタンレー証券にて営業職として勤務。20歳代で手数料ランキング1位を成し遂げる。その後、極東証券に移籍しディーラーへ転身。ポジション3000万からスタートし、そこから6000万→1億→3億→6億と目覚ましい活躍をするも、これまで20年間で培った経験を個人投資家へ伝えたいとの思いから投資助言の道へ。2017年7月よりG&Dアドヴァイザーズへ入社し現在に至る。