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【真実一路】内田晋也の投資コラム

【6月21日】~キャッシュかキャッシュ以外か~

2024年6月21日

7月3日、紙幣のデザインが20年ぶりに刷新されます。

2004年に今の紙幣になってから約20年ぶりのデザイン変更とのことですが、この20年という期間が変更の基準であるならばこのテーマ自体を取り上げること自体がもはや最後なのかもしれません。

今回のデザイン変更、業界紙などを見渡しますとこの新紙幣の発行でタンス預金の再流通や、自動販売機やレジのシステム改修などで1.6兆円から2.3兆円くらいの経済効果が期待されるのだとか。

業界紙の指摘のように確かにシステム変更などは発生するのでしょうけど、恐らくそのコストは利用者に料金価格の引き上げという形で転嫁されるのではないかと想像しております・・・。

つまり、値上げです。

企業による賃金の引き上げの動きもあって所定内賃金は30年ぶりの高い伸びを示していますが、物価上昇も急ピッチの伸びとなっておりますので実質賃金は前年比0.7%の減少と25か月ぶりのマイナスとなりました。

今後待ち受ける電力料金の上昇を考えますと実質賃金の減少はまだ当面続くことが想定されます。

そのような環境で小売店が料金価格に転嫁となれば経済効果どころか消費自体を冷やしかねないのではないかと思うのです。

財布の紐がより固く、より抑制的になってしまえば元も子もないわけで、小売店サイドもシステム改修自体を必要欠くべからざると理解しつつ、どうしても消極的に、後ろ向きになってしまうのではないかと思うのです。

2021年に発行された新500円硬貨は発行して3年経過していますが、未だに使えない自販機がかなりあるそうです。

企業サイドの消極的な姿勢が窺える象徴的な事例と言えるでしょう。

上は余談です。

そこで注目されるのキャッシュレス関連です。

小売店側が紙幣や硬貨の刷新に対応しなければならない現実的な負担が減るし、現物を扱う安全性を併せて考えれるとコスト的に合うのではないかと。

日本人が現金を好む国民性であることは承知しております。私も好きです。特別に好きです。故にキャッシュ対応は必須です。

それでもキャッシュレス決済比率は足元39.3%まで上昇しているのです。(経済産業省調べ)

10年前は15%前後だったものがコロナ渦を通じて一気に浸透し始めたのです。

新紙幣の発行がキャッシュレスを促すとなれば、それはもはやユーモラスな皮肉と言えなくもないですが、とは言えこの比率の上昇を一つの現実として直視するべきだと思うのです。

なかでもキャッシュレス化において急成長しているのはQRコード決済です。

決済金額はなんと年率83.5%もの急拡大となっています。

このQRコード決済でおよそ50%のシェアを有するPayPayを傘下に持つ【4689】LINEヤフー。

オマハの賢人が投資に際して注視する、“高速道路の料金所のようなビジネスモデル”になっていますので注目してみてはいかがでしょう。

投資調査部 内田
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内田晋也(うちだしんや)

略歴

1973年千葉生まれ。大学時代は経済学部にて国際貿易金融論を専攻し卒業。1996年より現三菱UFJモルガンスタンレー証券にて営業職として勤務。20歳代で手数料ランキング1位を成し遂げる。その後、極東証券に移籍しディーラーへ転身。ポジション3000万からスタートし、そこから6000万→1億→3億→6億と目覚ましい活躍をするも、これまで20年間で培った経験を個人投資家へ伝えたいとの思いから投資助言の道へ。2017年7月よりG&Dアドヴァイザーズへ入社し現在に至る。