【12月29日】~2024年相場を展望~
2023年12月29日
今年一年を思い返してみて不本意ながら思い至るのは、2023年は記録にも記憶にも残る年と言えるのではないか、そう思うのです。
不都合な真実とも言うか、直視をさけて、隅に押しのけたい記憶と言えなくもない年です。
地球規模で夏の気温が上昇し各地で最高気温を記録。猛暑、熱中症、山火事、干ばつ、台風、水害が空前の規模で発生しました。
地政学リスクも顕在化し、ロシア・ウクライナ問題は泥沼化、中東地域ではイスラエルによるパレスチナヘの激しい砲撃が進行中です。
中国では景気後退が隠せなくなり、それに対し有効な政策を打ち出せず、急速に悪化する中国の未来が世界経済の新たな不安の芽となっています。
日本では「政治とカネ」の問題が露見し、重要政策とされた少子化対策、スタートアップ支援も遅々として進まず、防衛費は財源が決まらないまま進めざるを得ない状況です。
この様な世界情勢・政治状況でポジティブに物事を見通せない状況にあるにもかかわらず、それでも2023年の株価は歴史的な上昇と遂げました。
何故か?
それは、米国の経済状況が極めて良好であり、FRBが上手に物価上昇をコントロールしていることに行き付きます。
地上最強の消費国である米国が健在で、政策を熟知した金融当局が消費経済を強力にバックアップしているのです。
しかも物価減速が鮮明化する中で利上げ局面が終了し、24年春以降、利下げに踏み出す公算が大きくなってきました。
これは投資環境面で大きな転換点に差し掛かっていると考えます。
欧米の金融政策の局面シフトは世界株にとっても、そして日本株にとっても朗報であり、上昇相場の強い支援材料になりそうです。
仮に日経平均が34000円を上放れると、2012年からはじまった長期上昇相場に弾みがつく形になり、1989年の最高値38915円が視野に入ります。
上記の強気シナリオが現実化するか否かは、米国経済がソフトランディングに成功し、景気後退まで弱まらないことが条件と言えるでしょう。
景気後退に陥らず、マイルドな悪化程度で景気を維持できさえすれば、強気シナリオの可能性が高いとみて良いのではないかと思うのです。
一方リスク面を見てみますと、過去の金利上昇の最終局面では、しばしば金融ショックや通貨危機が発生し、株価急落を交える形で景気後退に陥ることがありました。
ブラックマンデー、アジア通貨危機、リーマンショック。
それに準じる規模と言えるかどうか、世界の政治情勢、地政学リスクが現出する可能性があります。
とりわけ1月13日投開票の台湾総統選は、親米の民進党と親中の国民党が争う構図であり、仮に1月の選挙で親米の民進党が勝利すると、2016年から3期目に突入するため中国共産党は意地でも阻止に動くとみられます。
現に習政権は武力攻撃を匂わせ、民進党とその支持者を恫喝しています。
先の米中首脳会談ではバイデン大統領が習氏に選挙介入の自制を促しましたが残念ながら効果は期待出来そうにありません。
仮に24年東アジアで地政学リスクが高まる場合、株価急落などリスク回避が強まる可能性が出てきます。
地政学リスクを冷戦時代と比較してみてみます。
冷戦時代に世界は、欧米VS中ソを対立軸に、軍事的に緊張し、経済的にも分断された時代が続きました。
こうした状況下、日本は軍備拡張の必要もなく、景気拡大の恩恵を最大限受け、先進国の仲間入りを果たしました。
これに対し今日の情勢は、日本自体が防衛費を拡大せざるを得ない状況であることに加え、中国、韓国、台湾に傾斜し過ぎた半導体などの戦略物資の生産拠点を是正する状況にあります。
欧米から見れば日本は同じ価値観を共有できる国で、インフラも揃っており、高度な競争力を持った企業を有しております。
海外から投資が増えることで、既に地下、建設費、作業員の賃金が上昇しており、今後もこの傾向が続くでしょう。
中国や台湾に偏重したサプライチェーンの日本輸入が見込まれると想定します。
さらに、2024年は利下げが焦点になることでグロース株が相対的に優位な状況と思われます。
一方で年前半は日銀の緩和政策の修正があると見られ、銀行・保険などの金利敏感株は盛り上がりを見せることになるでしょう。
また、新NISA、MBO、グループ再編の動きも注目してみたいと思います。
2024年の投資活動が実り多きものでありますよう切に願います。
投資調査部 内田
不都合な真実とも言うか、直視をさけて、隅に押しのけたい記憶と言えなくもない年です。
地球規模で夏の気温が上昇し各地で最高気温を記録。猛暑、熱中症、山火事、干ばつ、台風、水害が空前の規模で発生しました。
地政学リスクも顕在化し、ロシア・ウクライナ問題は泥沼化、中東地域ではイスラエルによるパレスチナヘの激しい砲撃が進行中です。
中国では景気後退が隠せなくなり、それに対し有効な政策を打ち出せず、急速に悪化する中国の未来が世界経済の新たな不安の芽となっています。
日本では「政治とカネ」の問題が露見し、重要政策とされた少子化対策、スタートアップ支援も遅々として進まず、防衛費は財源が決まらないまま進めざるを得ない状況です。
この様な世界情勢・政治状況でポジティブに物事を見通せない状況にあるにもかかわらず、それでも2023年の株価は歴史的な上昇と遂げました。
何故か?
それは、米国の経済状況が極めて良好であり、FRBが上手に物価上昇をコントロールしていることに行き付きます。
地上最強の消費国である米国が健在で、政策を熟知した金融当局が消費経済を強力にバックアップしているのです。
しかも物価減速が鮮明化する中で利上げ局面が終了し、24年春以降、利下げに踏み出す公算が大きくなってきました。
これは投資環境面で大きな転換点に差し掛かっていると考えます。
欧米の金融政策の局面シフトは世界株にとっても、そして日本株にとっても朗報であり、上昇相場の強い支援材料になりそうです。
仮に日経平均が34000円を上放れると、2012年からはじまった長期上昇相場に弾みがつく形になり、1989年の最高値38915円が視野に入ります。
上記の強気シナリオが現実化するか否かは、米国経済がソフトランディングに成功し、景気後退まで弱まらないことが条件と言えるでしょう。
景気後退に陥らず、マイルドな悪化程度で景気を維持できさえすれば、強気シナリオの可能性が高いとみて良いのではないかと思うのです。
一方リスク面を見てみますと、過去の金利上昇の最終局面では、しばしば金融ショックや通貨危機が発生し、株価急落を交える形で景気後退に陥ることがありました。
ブラックマンデー、アジア通貨危機、リーマンショック。
それに準じる規模と言えるかどうか、世界の政治情勢、地政学リスクが現出する可能性があります。
とりわけ1月13日投開票の台湾総統選は、親米の民進党と親中の国民党が争う構図であり、仮に1月の選挙で親米の民進党が勝利すると、2016年から3期目に突入するため中国共産党は意地でも阻止に動くとみられます。
現に習政権は武力攻撃を匂わせ、民進党とその支持者を恫喝しています。
先の米中首脳会談ではバイデン大統領が習氏に選挙介入の自制を促しましたが残念ながら効果は期待出来そうにありません。
仮に24年東アジアで地政学リスクが高まる場合、株価急落などリスク回避が強まる可能性が出てきます。
地政学リスクを冷戦時代と比較してみてみます。
冷戦時代に世界は、欧米VS中ソを対立軸に、軍事的に緊張し、経済的にも分断された時代が続きました。
こうした状況下、日本は軍備拡張の必要もなく、景気拡大の恩恵を最大限受け、先進国の仲間入りを果たしました。
これに対し今日の情勢は、日本自体が防衛費を拡大せざるを得ない状況であることに加え、中国、韓国、台湾に傾斜し過ぎた半導体などの戦略物資の生産拠点を是正する状況にあります。
欧米から見れば日本は同じ価値観を共有できる国で、インフラも揃っており、高度な競争力を持った企業を有しております。
海外から投資が増えることで、既に地下、建設費、作業員の賃金が上昇しており、今後もこの傾向が続くでしょう。
中国や台湾に偏重したサプライチェーンの日本輸入が見込まれると想定します。
さらに、2024年は利下げが焦点になることでグロース株が相対的に優位な状況と思われます。
一方で年前半は日銀の緩和政策の修正があると見られ、銀行・保険などの金利敏感株は盛り上がりを見せることになるでしょう。
また、新NISA、MBO、グループ再編の動きも注目してみたいと思います。
2024年の投資活動が実り多きものでありますよう切に願います。
投資調査部 内田