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【真実一路】内田晋也の投資コラム

【9月29日】~デフレからインフレへ、我々はどう生きるか~

2023年9月29日

これまで日本の株式市場は「世界の景気敏感株」と呼ばれ、世界経済の見通しが明るくなると輸出株中心に明るさが増し、鋭角的な上昇をする傾向がありました。

反対もしかりで、世界経済が悪化すると途端に景気も株価も悪化の一途をたどる・・・。

言うなれば日本の株式市場は他力本願的な、外国景気任せの特殊性を有していると言えます。

そのある種、特異な習性をもった株式市場が諸外国の動向と切り離されて、自主独立した自律的な基調を辿り始めています。

日本経済の何が変わったのか?

なぜ、海外投資家は日本市場を評価し、春先以降強い買い姿勢を見せたのか。

特に大きく作用しているのは、主に3つではないかと思います。

1.日銀の金融政策 2.インフレマインドの浸透 3.米中、米ロの対立激化、ではないかと思うのです。

特に重要度の高いのがインフレマインドの浸透で、20年以上にわたってデフレに苦しめられた日本が、コロナパンデミックとウクライナ紛争を経て、40年ぶりと言われるインフレと言う事態に遭遇しています。

一度大きく動き出した物価っていう物が、動き出した以上そう簡単には変わらないぞ、という認識が浸透し始め、大きな資金シフトが生まれであろう想定で、海外からの投資マネーの流入がなされたのです。

知られている通り日本企業は内部留保として500兆円、家計は2000兆円もの金融資産、言わば軍資金を保有しています。

これら資金が市場に流入するのは当初限定的であるにしても、他の大多数は企業もしくは一般家計がその気になりさえなれば、いつでも動かすことが出来ると言う点で権利を保留している豊かさがあるのです。

このインフレという経済枠組みとそのありがたさに気付いた場合、企業や家計は無我夢中で市場に首を突っ込む時代が来るのではないか。

だとすると、かつてのような他律的、日銀頼みの、そして外国事情に連動する体たらくな市場ではなくなる可能性があります。

経済の変化、意識の変化、構造の変化。

それがデフレからインフレの本質ではないかと思います。

言葉にすれば簡単ですが、事はそんな単純ではありません。

くどいようですが経済の基礎的要件と言うか、大枠が変化してて、且つ簡単に元には戻らないのであれば、ちょっとやそっとの事では海外の投資マネーは引かないのではないかと。

今の足元の相場のように、多少の値下りや揺り戻しもあるでしょう、それでも海外マネーの日本への流入は今後も断続的に続くことを予想します。

今まさにようやく始まったのではないか。

投資は未来予想であり、過去に起きたことはあくまでも参考事例でしかありませんが、それでも未来を見通すには過去を振り返ることが肝要。

そこで出遅れ気味の業種にも今後物色が波及してくることを予想し、【4183】三井化学。

投資調査部 内田
















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内田晋也(うちだしんや)

略歴

1973年千葉生まれ。大学時代は経済学部にて国際貿易金融論を専攻し卒業。1996年より現三菱UFJモルガンスタンレー証券にて営業職として勤務。20歳代で手数料ランキング1位を成し遂げる。その後、極東証券に移籍しディーラーへ転身。ポジション3000万からスタートし、そこから6000万→1億→3億→6億と目覚ましい活躍をするも、これまで20年間で培った経験を個人投資家へ伝えたいとの思いから投資助言の道へ。2017年7月よりG&Dアドヴァイザーズへ入社し現在に至る。