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【真実一路】内田晋也の投資コラム

【6月2日】~私の記憶が確かであれば~

2023年6月2日

数字にこだわり過ぎて物事の全体像を見失うことを「マクナマラの誤謬(ごびゅう)」と言うそうです。

難しい言葉ですね、「ごびゅう」。「ごびょう」と読み間違えてました((笑))。

そんなことはさて置くとして、この言葉の由来となったのが米国防長官を務めたロバート・マクナマラ氏。

神童と呼ばれたマクラナマはデータ分析を駆使してベトナム戦争に勝利しようとしましたが、数値では計れないベトナム人の愛国心やアメリカ市民の反戦感情に目を向けず、300万人を超す犠牲者を出す泥沼の戦争を招きました。

太平洋戦争では日本にB-29を大量投入して市街地に空襲を仕掛け、日本が降伏した後は米自動車メーカーフォードの社長として辣腕を振るい、さらにケネディー大統領に乞われて国防長官に大抜擢されベトナムに関わることになった天才、マクナマラ氏。。

なぜ絶望的な失策を招いてしまったのでしょう。

なぜ手元のデータのみを重視し誤った判断をひっくり返すこと出来ず撤退の決定が遅れてしまったしまったのか。

現在NHKで放送中の「どうする家康」でもライバルとなっている武田勝頼がこのパターンで、負け戦だっていうのに突っ込んでいって自滅に向かってしまう。

言うなれば勝頼の誤謬と言えなくもないですが、絶賛放送中でもありますし、ネタバレになるのでこの辺で。

上は余談です。

東京株式市場で日経平均の上昇が本物かどうかが話題になり、今の株価の強さに疑問を呈している人が多数います。

アメリカのインフレが明確に終息したわけでもなく、長期金利も再度上昇しはじめ、株価指数の割に個別株の値動きがさえないという点を気にしているのです。

直近の値上がりによる過熱感の高まりもブレーキとなり、投資家の中の大半が買えない弱気、つまりは乗り遅れとなってしまっているよう。

そこで私は思うのです、今回の株価上昇に関しては本物ではないかと。

その理由は今回の株価上昇が半導体関連に強力にリードされているからに他なりません。

エヌディビアの時価総額が一日で105兆円から135兆円に急拡大したことは言うに及ばず、非常に重要な出来事が強いモメンタムで発生していると考えています。

私の記憶が確かなのであれば、株式相場にとって半導体関連ほど強い先行指標はありません。

それが過去にない程、強いモメンタムで本格的な上昇を試しているのであれば、ここに極めて重大な意味が含んでいると思うのです。

人工知能(AI)アプリケーションを処理する性能を備えたエヌディビアの半導体需要が一時的であると考えるのであれば相場に弱気も良いでしょう。

ただAIが本当に現実のものとして使える時代が来た以上、圧倒的なデータの量がやりとりされることになります。

それを処理するデータセンターやそれらを処理するCPU、GPUなど、またデータの提供者と利用者の間の「データ取引所」のようなものも、これから加速して進化していくと思います。

ちょうど今から25年前インターネットが始まったばかりの時と同じ興奮、あるいはそれ以上の革命の入り口にいて、ここに世の中が全速力で向かおうとしていると考えるのであればどうでしょう。

マクラナマや武田勝頼と同じ間違いをしてはならないのではないか、そう思うのです。

AI技術を活用したデジタルトランスフォーメーションを展開する【3993】PKSHA Technologyに押し目狙いで。

投資調査部 内田
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内田晋也(うちだしんや)

略歴

1973年千葉生まれ。大学時代は経済学部にて国際貿易金融論を専攻し卒業。1996年より現三菱UFJモルガンスタンレー証券にて営業職として勤務。20歳代で手数料ランキング1位を成し遂げる。その後、極東証券に移籍しディーラーへ転身。ポジション3000万からスタートし、そこから6000万→1億→3億→6億と目覚ましい活躍をするも、これまで20年間で培った経験を個人投資家へ伝えたいとの思いから投資助言の道へ。2017年7月よりG&Dアドヴァイザーズへ入社し現在に至る。