【12月30日】~2023年新年相場を展望します~
2022年12月30日
今年の株式市場にとって大変厳しい年となりました。
日経平均は約3%の下落と横ばいでしたが、マザーズ指数は20%近い大幅下落、さらにアメリカ市場ではダウ平均が4.8%の下落でしたが、ナスダック指数は27%の大幅下落と、結果から見れば小型成長株にとって厳しい一年となりました。
小型成長株が苦戦した理由は大きく2つと考えられます。
1つ目はコロナ禍におけるIT関連企業への過剰な期待が剥がれたこと。
そして2つ目は米国の金融引締め政策による米金利の上昇とそれに伴う景気鈍化懸念です。
この2つの要素が重なったことでこれだけ小型成長株の低パフォーマンス・劣後する結果になったと考えております。
さて、来年はどのようなマーケットになるのでしょう。
2023年の日本株を占う上で、米国の物価情勢と金融政策がカギを握ることは言うまでもありませんが、その当事国で引き締め効果が顕在化しはじめてきたことは来年前半を占う上で大きな注目点です。
直近12月のFOMCで利上げ幅の縮小となりましたが、2023年春頃には利上げ停止もありうるのではないか、その可能性を考えています。
とは言え、不況とか不景気と言ったものではなく、減速か後退程度を示す程度で、その勢い自体も緩やかな後退に留まると見ています。
その場合、米国の金融政策の転換が求められますが、景気の「減速」(利上げ停止)は株価の押上げ要因ですが、景気や企業収益の「悪化」は株安要因です。
株式市場も景気の減速と悪化の間で揺れ動く、両社のバランスに悩まされる、そんな展開が想定されます。
両社の見極めが非常に重要になるでしょう。
つまり、年前半は株高要因と株安要因が綱引きし、拮抗する可能性が高い。
つまり、もみ合いとなる想定します。
年央からは金融緩和期待を背景とした株高要因になる展開を想定します。
《上振れシナリオ》
○米国の物価沈静化が急進展し、早期の金融緩和と同時に、景気・企業収益が落ち込み軽微。
○ロシアウクライナ戦争の早期終結により、エネルギー価格の軟化。
《下振れシナリオ》
●中国経済の失速と欧州経済の一段の悪化。
●岸田政権の求心力低下、日銀の金融政策の転換
なかでも最大の不透明要因、マイナス材料として中国の政情不安があります。
コロナ政策への抗議活動が異例の盛り上がりを見せましたが、果たしてこれが一時的な現象で終わるかどうか。
場合によっては、より大きな問題である民主化への流れ、反政府への動きに発展する可能性を含んでいると見られますので予断を許すべきではないでしょう。
仮にコロナ拡大によって中国国内での経済問題が解決せず、大規模なデモや抗議活動が活発になり、さらに暴動に発展した場合、中国共産党は天安門事件のように参加者を弾圧せず、その捌け口として台湾問題を唐突に惹起する可能性があり、リスクファクターとして意識しています。
事が起きた場合、世界の景気敏感株としての日本の立ち位置を大きく揺るがす可能性があります。
戦争の当事国として扱われた場合は悪材料、世界的な中国離れが助長するなかで、日本が対中国の受け皿として選択されれば好材料となるでしょう。
その見極めが重要です。
<成長が期待できる産業は?>
中国・ロシア・北朝鮮による積極的な軍事行動により、日本の安全保障環境はかつてないほど緊迫しています。
政府は防衛費を5年で43兆円超へ引き上げる方針を示しており「バブル予算争奪戦」のゴングは鳴ったと見てまず間違いありません。
安全保障政策の指針となる「国家安全保障戦略」「防衛大綱」「中期防衛力整備計画」をみると、「フルパッケージの防衛戦略」に大きく舵を切る戦略です。
では政府の言う“フルパッケージ”とは何か?
軍事は盾と矛からなります。
専守防衛の建前から盾(守備力)の準備はありますが、矛(攻撃力)はアメリカ任せになっていますので、矛の拡充、言うなれば攻撃力の重点強化が安全保障上の核になるでしょう。
つまり敵機攻撃力に適したスタンドオフミサイルやそれに準ずる武器保有について規模の拡大となるでしょう。
関連銘柄にとっては商機拡大、空前絶後の大チャンスとなるのではないか。
また民生用技術のなかから軍事転用に適する量子コンピューター、コンピューターセキュリティ、暗号化、AI、ドローンなど大きく飛躍する可能性があると見ております。
《最後に》
2022年は地政学リスクが差し迫った問題として浮上してきた年でした。
国連安保常任理事国自身が侵攻当事者になるという恐ろしい事実は世界を震撼させましたし、これを機に世界のパワーバランス自体が大きく変動する可能性があります。
日本も地勢と国力に合わせた完結した戦力を保持する方向に舵を切ると見ております、数年にわたる国家的な事業となる初年となりますので乗り遅れなきよう。
それでは改めまして2023年が新たな世界繁栄の入り口でありますように、皆様の投資活動が実りの多いものでありますように。
仮説の網を張り、猜疑心の櫓を漕ぎ、資料の海をさまよう覚悟です。
不自然な噂や不合理な数字の推移に溺れることのないよう心がけつつ、皆様方からのご指導ご鞭撻を心の糧として励む所存です。
2023年もよろしくお願い申し上げます。
投資調査部 内田 晋也
日経平均は約3%の下落と横ばいでしたが、マザーズ指数は20%近い大幅下落、さらにアメリカ市場ではダウ平均が4.8%の下落でしたが、ナスダック指数は27%の大幅下落と、結果から見れば小型成長株にとって厳しい一年となりました。
小型成長株が苦戦した理由は大きく2つと考えられます。
1つ目はコロナ禍におけるIT関連企業への過剰な期待が剥がれたこと。
そして2つ目は米国の金融引締め政策による米金利の上昇とそれに伴う景気鈍化懸念です。
この2つの要素が重なったことでこれだけ小型成長株の低パフォーマンス・劣後する結果になったと考えております。
さて、来年はどのようなマーケットになるのでしょう。
2023年の日本株を占う上で、米国の物価情勢と金融政策がカギを握ることは言うまでもありませんが、その当事国で引き締め効果が顕在化しはじめてきたことは来年前半を占う上で大きな注目点です。
直近12月のFOMCで利上げ幅の縮小となりましたが、2023年春頃には利上げ停止もありうるのではないか、その可能性を考えています。
とは言え、不況とか不景気と言ったものではなく、減速か後退程度を示す程度で、その勢い自体も緩やかな後退に留まると見ています。
その場合、米国の金融政策の転換が求められますが、景気の「減速」(利上げ停止)は株価の押上げ要因ですが、景気や企業収益の「悪化」は株安要因です。
株式市場も景気の減速と悪化の間で揺れ動く、両社のバランスに悩まされる、そんな展開が想定されます。
両社の見極めが非常に重要になるでしょう。
つまり、年前半は株高要因と株安要因が綱引きし、拮抗する可能性が高い。
つまり、もみ合いとなる想定します。
年央からは金融緩和期待を背景とした株高要因になる展開を想定します。
《上振れシナリオ》
○米国の物価沈静化が急進展し、早期の金融緩和と同時に、景気・企業収益が落ち込み軽微。
○ロシアウクライナ戦争の早期終結により、エネルギー価格の軟化。
《下振れシナリオ》
●中国経済の失速と欧州経済の一段の悪化。
●岸田政権の求心力低下、日銀の金融政策の転換
なかでも最大の不透明要因、マイナス材料として中国の政情不安があります。
コロナ政策への抗議活動が異例の盛り上がりを見せましたが、果たしてこれが一時的な現象で終わるかどうか。
場合によっては、より大きな問題である民主化への流れ、反政府への動きに発展する可能性を含んでいると見られますので予断を許すべきではないでしょう。
仮にコロナ拡大によって中国国内での経済問題が解決せず、大規模なデモや抗議活動が活発になり、さらに暴動に発展した場合、中国共産党は天安門事件のように参加者を弾圧せず、その捌け口として台湾問題を唐突に惹起する可能性があり、リスクファクターとして意識しています。
事が起きた場合、世界の景気敏感株としての日本の立ち位置を大きく揺るがす可能性があります。
戦争の当事国として扱われた場合は悪材料、世界的な中国離れが助長するなかで、日本が対中国の受け皿として選択されれば好材料となるでしょう。
その見極めが重要です。
<成長が期待できる産業は?>
中国・ロシア・北朝鮮による積極的な軍事行動により、日本の安全保障環境はかつてないほど緊迫しています。
政府は防衛費を5年で43兆円超へ引き上げる方針を示しており「バブル予算争奪戦」のゴングは鳴ったと見てまず間違いありません。
安全保障政策の指針となる「国家安全保障戦略」「防衛大綱」「中期防衛力整備計画」をみると、「フルパッケージの防衛戦略」に大きく舵を切る戦略です。
では政府の言う“フルパッケージ”とは何か?
軍事は盾と矛からなります。
専守防衛の建前から盾(守備力)の準備はありますが、矛(攻撃力)はアメリカ任せになっていますので、矛の拡充、言うなれば攻撃力の重点強化が安全保障上の核になるでしょう。
つまり敵機攻撃力に適したスタンドオフミサイルやそれに準ずる武器保有について規模の拡大となるでしょう。
関連銘柄にとっては商機拡大、空前絶後の大チャンスとなるのではないか。
また民生用技術のなかから軍事転用に適する量子コンピューター、コンピューターセキュリティ、暗号化、AI、ドローンなど大きく飛躍する可能性があると見ております。
《最後に》
2022年は地政学リスクが差し迫った問題として浮上してきた年でした。
国連安保常任理事国自身が侵攻当事者になるという恐ろしい事実は世界を震撼させましたし、これを機に世界のパワーバランス自体が大きく変動する可能性があります。
日本も地勢と国力に合わせた完結した戦力を保持する方向に舵を切ると見ております、数年にわたる国家的な事業となる初年となりますので乗り遅れなきよう。
それでは改めまして2023年が新たな世界繁栄の入り口でありますように、皆様の投資活動が実りの多いものでありますように。
仮説の網を張り、猜疑心の櫓を漕ぎ、資料の海をさまよう覚悟です。
不自然な噂や不合理な数字の推移に溺れることのないよう心がけつつ、皆様方からのご指導ご鞭撻を心の糧として励む所存です。
2023年もよろしくお願い申し上げます。
投資調査部 内田 晋也