投資顧問会社の株式会社G&Dアドヴァイザーズが運営するWebサイト

【真実一路】内田晋也の投資コラム

【12月23日】~防衛費確保のため税率を・・・~

2022年12月23日

防衛費の増額分を確保するため政府与党は法人、所得、たばこの三税を増税する方向で検討に入りました。

実施時期は未定ですが、取りやすいところから確実に。

そういう事なのでしょう。

明治時代にあった日露戦争のとき、戦費確保のため様々な増税案が検討されたそうですが、国税庁の資料に記載された当時の名案をいくつかご紹介します。

一案は「紳士登録税」。

文明開化の世の名誉欲から園遊会や宴会に出たがる人を登録制にし、税をとる。

政治家や財界関係者らが対象とのことで年500万の税収入を想定してます。

他に体裁を繕うだけの髯(ひげ)に課す「髯税」も提唱。

民の目線でお上(かみ)にもの申すことが主眼とのこと。

他にもマッチ税、のろけ税、喧嘩税など多くの「名案」が検討されたそうで、総額2億7328万円の増税を“真剣に”想定したとのことです。

結果で言えば、上記の名案は採用されず、日露戦争では当時の一般会計予算の10倍となる20億円余りの戦費を要し、その10%を税金で、残りを外債によって調達したそう。

上は余談。

当時の日本において、庶民は重税にあえぎ、国権はあくまで重く、民権はあくまで軽く、庶民は兵役に駆り出され、足尾の銅山事件があり、あぁ野麦峠に代表される女工哀史があり、小作争議がありで、そのような被害意識から見ればこれほど暗い歴史はなかったでしょう。

今から思えば実に滑稽なことにコメと絹の他に主要産業のないこの国家の連中が、先進国並みの軍隊を持とうとしたわけで、財政の成り立つはずもないのです。

17世紀に産業革命を迎えた国と、19世紀になってようやくその重要性に気付いた国とがまともにやり合おうと言うわけですから。

しかし、近代国家を作り上げようと言うのはもともと維新成立の大目的だったし、維新後の新国民たちの少年のような希望だったわけです。

ともかくも新国民は食うも食わずに近代的な軍隊を作り上げたわけですが、はたから見るとこの悲惨さをかれら新国民たちは自らの不幸としたかどうか。

厭う(いとう)ていたかどうか。

想像するに極めて疑わしい。

「明治はよかった」

今はなき祖母が言っていたのを私は少年のころ聞いています。

この言葉に代表されるように、これほど楽天的な時代はないのではないか。

そして我々も明治の時代人同様、なしえなけらばならない事があるのではないか、そう思うのです。

投資調査部 内田晋也
一覧に戻る

内田晋也(うちだしんや)

略歴

1973年千葉生まれ。大学時代は経済学部にて国際貿易金融論を専攻し卒業。1996年より現三菱UFJモルガンスタンレー証券にて営業職として勤務。20歳代で手数料ランキング1位を成し遂げる。その後、極東証券に移籍しディーラーへ転身。ポジション3000万からスタートし、そこから6000万→1億→3億→6億と目覚ましい活躍をするも、これまで20年間で培った経験を個人投資家へ伝えたいとの思いから投資助言の道へ。2017年7月よりG&Dアドヴァイザーズへ入社し現在に至る。