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【真実一路】内田晋也の投資コラム

【9月2日】~原発政策、唐突な転換~

2022年9月2日

岸田首相は24日、次世代原発の建設検討など新たな方針を明らかにしました。

事実上の原発政策の転換であり、あまりの唐突さに違和感を感じています。

首相は原発の延命を含め年末までに具体的な結論を出すよう検討を指示しています。

取り返しのつかない原発事故の取り返しがつかない中で、原発回帰に舵を切るのであれば国民的な議論があって然るべき。

正面から議論を尽くさず、さらに先月の参院選では原発回帰など一言も触れずに、黄金の3年間を手に入れた途端の方針転換ですから、掌を返されたよう。

生煮えの政治判断ではないのか。

そこで岸田首相に自民党のエネルギー政策について問いたい。

1.使用済み核燃料の最終処分の法律は全量再処理することになっていて、毎年出るであろう1000トンの使用済み核燃料に対して、再処理能力は800トンしかない。しかも再処理されて出てくるプルトニウムはもんじゅの燃料として使われることになっているが、もんじゅは動いていない。辻褄が合わない法律をなぜ自民党は制定しているのか。

2.なぜ自民党は処理できない使用済み核燃料や高レベル放射性廃棄物を出す原発が、単に二酸化炭素を出さないと言う理由だけでクリーンエネルギーと呼ばれることを黙認しているのか。

3.電力自由化という建前のせいで重要な情報が企業秘密となり、非公開になっている。なぜ自民党は自由化を口実に必要な情報を隠すことを許しているのか。

4.電力の質の議論に何故ならないのか。小生が暮らす地域にルネサスの工場があるが、その企業が作る半導体の何とかという部品は日本の電力の質がなければ出来ないなどの発言が一部にあった。

このような高品質の電力を必要としているのは産業界でも極めて限定的であり、本来、その事業者が自らコストを支払って調達するべきもの。

一部の限られた事業者のみが必要としている高品質の電力を、全ての消費者に高価格で供給することはおかしいのではないかという議論に、なぜ、ならないのか。

矛盾というか、一貫性がないと言うか、筋道が通ってないのではないかと。

どんなに技術が進んでも原子炉自体のリスクは残るわけで、これは厳然たる事実です。

現にウクライナのザポロジエ原発が戦闘に巻き込まれ、国際社会を不安に陥れています。

原発自体の廃炉はどうするのか、稼働で生じる核のゴミは?

10年後か20年後100年後か、本当に日本人が幸せになる政策を選んで頂きたい、来年の幸せのためじゃなくです。

坂本龍馬が脱藩したとき、近所の人に迷惑をかけました、家族にも迷惑をかけました、藩にも迷惑をかけました。

多少迷惑をかけても、時にしょうがない場合もあるのではないかと。

未来のためにやる決意があったならば少々の非難は覚悟の上で、事をなすために政治家や革命家はやらなければならないのではないかと。

時としてそういう時がある、そう思うのです。

投資調査部 内田
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内田晋也(うちだしんや)

略歴

1973年千葉生まれ。大学時代は経済学部にて国際貿易金融論を専攻し卒業。1996年より現三菱UFJモルガンスタンレー証券にて営業職として勤務。20歳代で手数料ランキング1位を成し遂げる。その後、極東証券に移籍しディーラーへ転身。ポジション3000万からスタートし、そこから6000万→1億→3億→6億と目覚ましい活躍をするも、これまで20年間で培った経験を個人投資家へ伝えたいとの思いから投資助言の道へ。2017年7月よりG&Dアドヴァイザーズへ入社し現在に至る。