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【真実一路】内田晋也の投資コラム

【8月5日】~台湾有事の可能性と米中の本気度~

2022年8月5日

アメリカのペロシ下院議長が2日深夜、台湾を訪問しました。

過去25年間で最も高位の米政治家による訪台で、中国は「極めて危険」と非難するなど、言葉のミサイルに加え、中国軍機が台湾の防空識別圏に侵入、挑発行為がエスカレートしています。

ペロシ女史の演説では「我々は決して台湾との約束に背かない」と語り、台湾との安全保障や経済における結びつきを深めて支援を続けていく姿勢を強調しました。

率直に言って、台湾リスクという意味で、ステージが変わった印象を持っています。

もともとアメリカ合衆国と言うお国柄は、それをつくりあげた連中にとっては理想社会と言うに近く、そういう満足は自負心であり、その自負心がある種プライドのようになっている国です。

自国の自由な社会を他地域に及ぼすと言う、奇妙な親切心(おせっかい)の意識がどこよりも強い国民であると言えます。

台湾問題も何の利害もない第三者が喧嘩を買って出たと言えなくもなく、中国から見れば「要らざるおせっかい」と言う事になるのでしょう。

こういういわば無邪気な、純情と言えば最もそれに似ているのがアメリカ合衆国の伝統的発想法なのかも知れません。

過去のおいて日本も満州事変以降アメリカのこの強力な「善意」のために散々な目に遭い、ついに対米戦争にのめりこまざるをえなかったし、更にはそれよりも後年ベトナム問題に対するアメリカの介入の発端も、多分に世界史に類のない「善意」に基づいていると言えまいか。

それはさておき、中国人民解放軍が台湾を包囲する態勢で前代未聞の軍事演習を展開します。

今回のペロシ訪台の背景には多かれ少なかれ、劣勢に立たされている11月の中間選挙を前に、対中政策、台湾問題でポイントを稼ぎたい民主党陣営の思惑が作用していると見るべきでしょう。

そして、中国も秋(10月か11月)に5年に1度の党大会を控えています。

習近平国家主席は任期を延長できるか否か、大きな山を乗り越えねばなりません。

それを前に、台湾問題という中国にとっての核心的利益において、安易な譲歩は決してできませんし、しないでしょう。

そのパワーバランスの中で「挑発的な言動」が連続・反復する場合、米国側との軍事的対峙(たいじ)、衝突はより直接的、大規模、かつ予測不可能な展開を見せる可能性があるでしょう。

予断を許さないとはまさにこのこと、情勢を注視する今日この頃です。

投資調査部 内田
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内田晋也(うちだしんや)

略歴

1973年千葉生まれ。大学時代は経済学部にて国際貿易金融論を専攻し卒業。1996年より現三菱UFJモルガンスタンレー証券にて営業職として勤務。20歳代で手数料ランキング1位を成し遂げる。その後、極東証券に移籍しディーラーへ転身。ポジション3000万からスタートし、そこから6000万→1億→3億→6億と目覚ましい活躍をするも、これまで20年間で培った経験を個人投資家へ伝えたいとの思いから投資助言の道へ。2017年7月よりG&Dアドヴァイザーズへ入社し現在に至る。