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【真実一路】内田晋也の投資コラム

【4月16日】~ジェノサイドかジェノサイド的行為か~

2021年4月16日

1994年に起きた「ルワンダの大虐殺」を主題にした映画のなかで最も有名なのが『ホテルルワンダ』です。

暴徒から逃れた避難民が続々とホテルへ押しかける中で支配人である主人公が自らの命を顧みず庇い続ける感動の実話です。

この虐殺はナチスのような軍隊とは違い、ラジオの煽動によって一般の民兵がナタやカマで次々と隣人を殺していったところに特徴があり、国土のいたるところが無残な死体で埋め尽くされました。

映画の中盤でようやく欧州の軍隊が到着し、ホテルの避難民たちは一様に安堵の表情を浮かべますが、その軍隊は虐殺を止めるためではなく、ルワンダからの撤退と外国人救出のためにやって来ただけでした。

その後、軍隊は次々と撤収。

あろうことか、飢えたライオンたちの前で檻を開けてしまったのです。

世界はルワンダを見殺しにしました。

これは人類史に残る厳然たる事実です。

当時アメリカ大統領だったクリントン氏はこの民族浄化をジェノサイドではなく、ジェノサイド的行為という信じがたい言い回しに終始し、軍事介入を後回しにした過去があります。

「ジェノサイド」という言葉を使ってしまうと、ジェノサイド条約によりその阻止のための行動を起こさなくてはならなくなるためです。

ようやくルワンダの状況をジェノサイドと認めた時には、80万とも100万とも言われるツチ族が殺されてしまいました。

それから4年後アメリカは過ちを認めて「証拠を目前にしながら、ためらうようなことは二度と繰り返さない」と宣言します。

前置きが長くなりました。

同じようなジェノサイドが中国ウイグル自治区で起きています。

中国共産党は100万人規模のウイグル人を厳しい監視下におき、信教、思想、言語、文化、あらゆる面において、全ての自由と民族的特性を奪い去りつつあるのです。

民族浄化作戦の下で、この世の地獄を生きているのです。

にもかかわらず、日本は中国市場の大きさに惑わされ、目先の利益を追い、おぞましい現実から目をそらしてしまっています。

まずは北京冬季五輪の開催地変更から考えねばなりません。

冒頭で紹介した映画のなかで、虐殺の現場を撮影したヨーロッパ人ジャーナリストが語りかけるシーンがあります。

「この映像を見た世界の人々はどうするか」

彼が続けた言葉はどちらだと思いますか?

1、 世界の人々が連帯して虐殺阻止のために動き出す

2、「怖いね」と言いながらディナーを続ける

正解は映画のなかで。

投資調査部 内田
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内田晋也(うちだしんや)

略歴

1973年千葉生まれ。大学時代は経済学部にて国際貿易金融論を専攻し卒業。1996年より現三菱UFJモルガンスタンレー証券にて営業職として勤務。20歳代で手数料ランキング1位を成し遂げる。その後、極東証券に移籍しディーラーへ転身。ポジション3000万からスタートし、そこから6000万→1億→3億→6億と目覚ましい活躍をするも、これまで20年間で培った経験を個人投資家へ伝えたいとの思いから投資助言の道へ。2017年7月よりG&Dアドヴァイザーズへ入社し現在に至る。