投資の前にコレだけは知っておこう!

【01/04】第324回 「新NISA」が「シン・NISA」に?(その3)

2023年1月4日

前回のつづき、シン・NISA最終回です。
 2024年から始まる新しいNISA制度について主なポイントを解説してきましたが、最後に、現行の制度との関係と、シン・NISAについてまだ明確になっていない部分や、今後のさらなる変更に期待する部分などについてまとめたいと思います。
 まず、現行の一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAはどうなるのかというと、すべて2023年12月31日をもって、新規の投資はできなくなります。
ただ、2023年末までに投資した分は、一般NISAとジュニアNISAは5年間(2027年末まで)、つみたてNISAは20年間(2042年末まで)、非課税措置が続きます。
 2024年からのシン・NISAの制度は、これまでのNISA口座の中に新たにシン・NISA口座を別枠として作るようなイメージなので、年間の非課税投資枠も生涯非課税投資枠もゼロからスタートすることになります。
 したがって、現行のNISA口座で買っている株式や投資信託を、2024年からのシン・NISAに移すことはできないと思われます(この部分は税制改正大綱に明確な記述がないので、あくまでも想像です)。
 それから、これも明記されていない点です。生涯非課税投資枠について、売却して枠が空いた部分を再利用できるのはいいのですが、その再利用するための投資額は、年間非課税投資枠にカウントされるのかどうか。おそらくカウントされるのだろうとは思います。
 しかし、投資枠の再利用は年間非課税投資枠にカウントしないという決まりがあったほうが、保有資産のスイッチング(例:投資信託Aを売って投資信託Bを買う)を気軽に行うことができ、利便性が格段に高まるのではないかと思います。
 仮に、投資枠の再利用が年間非課税投資枠にカウントされてしまうと、NISA口座内の買付価格ベースで500万円分の資産を売却して生涯非課税投資枠が空いたとしても、その年は、つみたて投資枠で120万円、成長投資枠で240万円の合計360万円までしか投資できません。
 例えば、買付価格ベースで500万円の資産が800万円になっていたとすると、そのうちの360万円しか1年間では再投資できないので、440万円も残ってしまいます。
つみたて投資枠120万円を使って積み立てをしている人だったら、成長投資枠の240万円しか使えないので、NISA内で再投資できない金額がさらに増えてしまいます。
 このあたりは、今後の改正が待たれるところです。また、生涯非課税投資枠の1,800万円というのも、個人的には少ないと思います。国民全体の資産所得倍増を目指すのであれば、そのような上限は撤廃すべきではないかと思われます。
 新しいNISAに変わるまで残り1年ちょっとです。細かな部分の変更などは十分に可能性がありますので、今後の情報をチェックしていきましょう。
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菱田雅生(ひしだまさお)

  • ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))
  • 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
  • 2級DCプランナー
  • 住宅ローンアドバイザー
  • 金融知力普及協会認定インストラクター

略歴

1969年東京生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手証券会社、独立系FP会社を経て、2005年8月よりフリーに。現在は、相談業務や、原稿の執筆、セミナー講師等に従事する傍ら、TV・ラジオ出演などもこなす。

書籍

「お金を貯めていくときに大切なことがズバリわかる本」すばる舎 (2018/1/25)

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