投資の前にコレだけは知っておこう!

【12/30】第323回 「新NISA」が「シン・NISA」に?(その2)

2022年12月30日

前回のつづきです。
 では、2024年からスタートするシン・NISAのポイントをまとめましょう。
 まず、最も大きな変更点は、非課税投資枠が拡大し、非課税期間の制限やNISAの利用期限が撤廃され、制度が恒久化されたことでしょう。
 現行制度の非課税投資枠と非課税期間は、
・一般NISA(年間120万円、5年間)
・つみたてNISA(年間40万円、20年間)
・ジュニアNISA(年間80万円、5年間)
ですが、これがシン・NISAになると、
・つみたて投資枠(年間120万円)
・成長投資枠(年間240万円)
となります。
つみたて投資枠は、つみたてNISAの3倍、成長投資枠は、一般NISAの2倍に拡大されます。さらに、シン・NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になります。つまり、合計で年間360万円までの非課税投資枠を利用できるのです。
 そして、それらの投資から得られる譲渡益や配当金、分配金については、期間の制限なくずっと非課税となります。また、今回の改正前の新NISAでは、一般NISAが2028年まで、つみたてNISAが2042年までという利用期限がありましたが、シン・NISAでは利用期限がなくなり、制度の恒久化が決まったのです。
 このような大幅な非課税枠の拡大、非課税期間の無期限化、そして、利用期限の撤廃など、今回のシン・NISAへの改正は、まさに岸田内閣の資産所得倍増プランを本気で進めようとする意志が込められたものだったと言えるでしょう。
 ただし、年間360万円の非課税投資枠をフルに何年間も使えるのかというと、生涯非課税投資枠というものが設定されるようです。
 上限は合計で1,800万円(うち成長投資枠部分は最大1,200万円)。
 つまり、つみたて投資枠年間120万円をずっと続けていったとすると、15年間で1,800万円に到達しますので、それ以降は非課税投資枠が使えなくなります。
 成長投資枠年間240万円だけで計算すると、5年で1,200万円に達しますので、それ以降はつみたて投資枠(残り600万円)を使うしかなくなります。
 毎年の非課税投資枠の大きさからすると、生涯非課税投資枠は少し小さく感じてしまいますね。とはいえ、これまでよりも拡大するのは間違いないので、歓迎できる改正と言えるでしょう。
 ちなみに、この生涯非課税投資枠は、売却することで枠が空いた場合に、その枠を再利用できることになっています。現行のNISAでは売却して枠が空いても再利用できなかったので、この点は改善されたと言えます。(次回につづく)
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菱田雅生(ひしだまさお)

  • ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))
  • 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
  • 2級DCプランナー
  • 住宅ローンアドバイザー
  • 金融知力普及協会認定インストラクター

略歴

1969年東京生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手証券会社、独立系FP会社を経て、2005年8月よりフリーに。現在は、相談業務や、原稿の執筆、セミナー講師等に従事する傍ら、TV・ラジオ出演などもこなす。

書籍

「お金を貯めていくときに大切なことがズバリわかる本」すばる舎 (2018/1/25)

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