【4/1】第315回 物価が上昇すると、なぜ金利も上昇する?(その1)
2022年4月1日
昨年あたりから、世界的に物価が上がり始めています。日本の企業物価指数(企業同士が取引しているモノの値段の変化を示しているもの)は、昨年11月に前年同月比で9.2%も上昇しました。これは、1980年12月以来の約41年ぶりの上昇だったようです。
一方、消費者物価指数(私たち消費者が買い物をしているモノの値段の変化を示しているもの)は、まだそれほど上昇していませんが、これから徐々に上昇していくのかもしれません。すでにアメリカでは、今回の物価上昇を止めるためにも3月中の利上げが検討されています。
ずいぶん昔に、このコーナーでも金利の変動要因についてまとめた記憶がありますが、あらためて、金利の変動要因のひとつである「物価と金利の関係」について、2つの側面から見たポイントを2回に分けてまとめたいと思います。
まず、教科書的な動きから言うと、物価と金利は連動します。正確には、物価の動きに少し遅れて金利が追随します。物価が上がると金利も上がる、物価が下がると金利も下がる、ということです。
では、なぜ物価が上がると金利も上がり、物価が下がると金利も下がるのか。その理由を紐解く1つ目の側面は、物価の変動とお金の需要の変化です。
モノの値段がどんどん上がっていくときには、消費者の心理として、値上がりする前に買いたいと思う人が増えるでしょう。値上がりする前に買うためには、お金を借りてでも買いたいと思うかもしれません。少しくらい金利が高くても、値上がりする前に買えるならいいと、お金を欲しがる人が増えるわけです。お金の需要が高まり、結果として金利が上がっていくわけです。
逆に、モノの値段が下がっていくときには、消費者心理として、もっと値下がりするまで待とうと思う人が増えるでしょう。お金を借りてまで買いたいと思う人は減るはずです。また、お金を借りるにしても、無理をして高い金利でお金を借りようとする人が減ります。お金の需要が減少し、結果として金利が下がっていくわけです。
現在の世界情勢は、原油価格などの原材料価格が上昇し、それが企業物価に影響を及ぼし、消費者物価にも波及しそうな状況です。つまり、景気が良くてモノを買う人が増えて物価が上がっていくという状況とは少し様子が違うようにも感じます。
そのような場合には、2つ目の側面から金利上昇を説明できるのです。では次回触れましょう。つづく
一方、消費者物価指数(私たち消費者が買い物をしているモノの値段の変化を示しているもの)は、まだそれほど上昇していませんが、これから徐々に上昇していくのかもしれません。すでにアメリカでは、今回の物価上昇を止めるためにも3月中の利上げが検討されています。
ずいぶん昔に、このコーナーでも金利の変動要因についてまとめた記憶がありますが、あらためて、金利の変動要因のひとつである「物価と金利の関係」について、2つの側面から見たポイントを2回に分けてまとめたいと思います。
まず、教科書的な動きから言うと、物価と金利は連動します。正確には、物価の動きに少し遅れて金利が追随します。物価が上がると金利も上がる、物価が下がると金利も下がる、ということです。
では、なぜ物価が上がると金利も上がり、物価が下がると金利も下がるのか。その理由を紐解く1つ目の側面は、物価の変動とお金の需要の変化です。
モノの値段がどんどん上がっていくときには、消費者の心理として、値上がりする前に買いたいと思う人が増えるでしょう。値上がりする前に買うためには、お金を借りてでも買いたいと思うかもしれません。少しくらい金利が高くても、値上がりする前に買えるならいいと、お金を欲しがる人が増えるわけです。お金の需要が高まり、結果として金利が上がっていくわけです。
逆に、モノの値段が下がっていくときには、消費者心理として、もっと値下がりするまで待とうと思う人が増えるでしょう。お金を借りてまで買いたいと思う人は減るはずです。また、お金を借りるにしても、無理をして高い金利でお金を借りようとする人が減ります。お金の需要が減少し、結果として金利が下がっていくわけです。
現在の世界情勢は、原油価格などの原材料価格が上昇し、それが企業物価に影響を及ぼし、消費者物価にも波及しそうな状況です。つまり、景気が良くてモノを買う人が増えて物価が上がっていくという状況とは少し様子が違うようにも感じます。
そのような場合には、2つ目の側面から金利上昇を説明できるのです。では次回触れましょう。つづく